詩のある花々・・初夏
鈴蘭


   花は白
   身にまとうのは緑
   ほかに何もいらない

   言葉は軽く
   思いは深く

   詩の心そのままに
   飾りを捨て
   命のしずくを宿らせて
      

プチうんちく:別名 、「君影草」(きみかげそう)。カソリック圏では聖母の涙と呼ばれる。パリの風習で、5月1日は「鈴蘭(ミュゲー)の祭日」。当日この花束を贈る人には幸福が訪れるという。花言葉は、気づかぬ美しさ。
文目(あやめ)

 文目を見ると
 紫の花を好んだ
 恩師を思い出す

 心に修羅
(しゅら)を抱え
 我が身を
 愛
(いと)おしむ詩を
 命を削るように書いた

 人を思い 人に思われ
 文目のように
 短い季節で散った
プチうんちく:ギリシャ語で、Iris(アイリス)。「虹」の意味。菖蒲(しょうぶ)と読まれるが、菖蒲とは別種。ただ、菖蒲を”あやめ”と読むこともあり、ややこしい。花言葉は、良き便り。
ミニ薔薇

  ミニ薔薇のような
  小さな器  

  ひとつの詩には ひとつの素材
  あまたの花を活けると
  器は壊れてしまいます

  一輪の薔薇 一篇の詩
プチうんちく:薔薇は古代から、繁栄と愛の象徴とされた。ローマ人は一輪のバラを天井につるし、その下での会話は一切秘密にする約束を守ったので、「バラの下で」という言葉が「秘密に」という意味になって今に残る。花言葉は、特別の功績。