詩のある花々・・初夏
薔薇


  頬のあたりを
  見つめられているけはいがして
  ふと振りむいたけれど
  誰もいない

  水さしに活けられた
  一輪の薔薇が
  こちらを向いているだけ

  でも私は微笑んでいた
  自分を心にかけてくれる誰かが
  ひととき花の目を借りて
  見守っていた気がして
プチうんちく:花の女王・薔薇を訪れたナイチンゲール(夜啼きうぐいす)の胸にとげが刺さり、その血が花びらにこぼれて深紅の薔薇が生まれたというイスラムの言い伝えがある。花言葉は、心からの尊敬、愛の吐息。
デンドロビウム


  
動かぬもののところには

  すべてが向こうからやって来る

  足の悪い人よ だから嘆くな と

  詩人リルケが詠っています

  花はいつもそこにいます

  だから会えるのです

  さ迷うあなたが 心やすめたい時

  いつでも
 
プチうんちく:ギリシャ語で、デンドロ〈木〉とビウム〈生じる〉から〈樹木で生活〉の意。野生種は、まさに木の上で育つ。花言葉は、わがままな美人。泣かされた方も多いかも・・?
セントポーリア


   けだかく咲いていても
   哀しみは葉陰にあるだろう

   人前で涙を見せなくても
   濡れたハンカチを
   隠しているように

   自分だけが知る痛みを
   幾重もの葉にひそませて
   花は咲いている
プチうんちく:アフリカ原産。3万種という豊富な品種がある。名の由来は、発見者であるセントポール・イレール男爵から。花言葉は、深窓の美女。