ユーモアのぬくもり・・



            午前一時の訪問者

               石本 まさ子



         門の開く音に目が覚めた
         時計を見ると午前一時十分
         夜遅く連絡なしに客が来たことはない
         身体中が耳になる
         闇の奥からガラス瓶の触れ合う音
         門が閉まり 車が発進した
          なあんだ 牛乳配達か
         ほっとして身体中の力が抜けた
         玄関のドアを浅く開けてみる
         あった 牛乳二本に保冷剤まで

         二十四時間営業の世の中
         深夜の配達に今まで気づかなかった私の
         時代遅れを笑ってしまった
         古い私にはご前様の牛乳より
         目覚めたばかりの牛乳を迎えたい


               
 ◇ ◆ ◇


真夜中に届けられる牛乳、知ってましたか?
どうやら、人手不足による深夜の牛乳配達が行われているようなのです。
それを知った作者の驚き。最終行で〈
ご前様の牛乳より目覚めたばかりの牛乳を迎えたい〉というシャレが効いていますね。牛乳ばかりでなく、人も午前様は困りもの。