めぐり逢うことば・・



   No. 1 2007年1月8日

   花を見て美しいと思い
   風に吹かれて寂しさを感じ
   空を見上げて遠く誘われ
   人に出逢って喜び
   人と別れて振り返る
   誰にも気がねなく
   自分のことも忘れ
   いつも心そのままにありたい


     
   No. 2 2007年1月15日

   降りしきる雪の中でも
   瞳に溶けるのは
   ひとひらの雪
   多くの人とのすれ違いの中で
   私の心にはじめて溶けた
   ひとひらの雪のような
   あなたとの出逢い




   No. 3 2007年1月21日

   
花を咲かせるのは
   華やかなものでなく
   ひかり輝くものでなく
   大地のたたえる
   深い静けさが
   花となって
   咲いている



     
   No. 4 2007年1月28日

   愛用の湯のみに
   お茶を注ぎ
   てのひらで
   温もりを味わう
   
   心という器に
   詩の言葉を満たし
   安らぎの茶柱を
   立ててみる



   No. 5 2007年2月25日

   重なり合う
   花びらと花びらの間に     
   谷間のような
   深い影がある

   幸せに包まれた
   笑顔を浮かべる人に
   隠された哀しみが
   あるように


     
   No. 6 2007年3月11日

   早春の夕べ
   香ぐわしい風になって
   あなたは吹いてくる

   枯れ枝に止まる
   ジョウビタキのさえずりの中から
   あなたは語りかけてくる

   あなたはいつも
   私のそばにいる



   No. 7 2007年3月25日

  星空の下で木蓮が芽吹いている    
  星空に呼びかけるように
  花の香りが流れる

  天を流れる光の川
  地を流れる命の香り

  天と地に
  遥かに続く川の流れがあって
  ふたつの川明かりに照らされながら
  私の命も
  早春の中で芽吹いている

     
    No. 8 2007年4月1日

   花明かりに染まって
   ゆきかう街の人たち

   うつむきがちな顔も
   今日は花枝を見上げて
   やさしいまなざしを向けている

   ふだんは乾いた表情の大人が
   頬を和らげ すれ違う
   桜の道 花のひと時


                

  No. 9 2007年4月15日

  風に
  舞い散る花びら

  うつろう季節を飾る
  花吹雪の華やかさ

  旅立つ春が 花嫁の歩みのように 
  ゆっくりと遠ざかってゆきます

  光で編んだベールの裳裾に
  見えない手が
  祝福の花びらを散らしています


     

  No. 10 2007年5月27日

 真青(まさお)空に
 ひとすじの飛行機雲

 黒板にチョークを
 すべらせるように
 空に線を描いてみたい

 子供のような私の願いが
 遠く叶えられて輝いている

 やがて白線は
 にじみ うすれ 霧となって消えたが
 私の夢はまだ尾をひいていた