詩のある花々・・春
リナリア



  花びらから
  見えない雨が降っています

  手を濡らすと
  てのひらのくぼみに
  小さな湖水が宿りました

  友がいても
  家族がいても
  なおさびしい
  人の心をうるおすための
      

プチうんちく:別名 、姫金魚草(ひめきんぎょそう)。ギリシャ語の linon・亜麻(あま)が語源。花言葉は、私の心を知って下さい。
菜の花


  野に群れ咲く菜の花を
  一茎 活けると
  急におとなしくなりました

  笑顔で友達と別れた少女が
  一人になったあと
  別の表情を浮かべるように

  花と私と
  二人きりの時間の中で
  素顔のまま
  見つめ合っています
      

プチうんちく:”野菜(菜っ葉)の花”という意味から「菜の花」になった。俳句の季語に、菜の花が咲く頃に降り続く雨を ”菜種梅雨(なたねづゆ)”と呼ぶ。花言葉は、小さな幸せ。
ラベンダー


 春になれば
 散り果てた願いが
 光を浴びて色づくでしょう

 あきらめて
 うつむいた心が
 空へ向かって芽吹くでしょう

 春になれば
 哀しみさえも
 甘い香りを放つでしょう
    

プチうんちく:”香りの女王”と呼ばれる。ラテン語の「lavare(洗う)」が語源。 ローマ時代に入浴時の香水として使われていたことに由来。花言葉は、沈黙。