詩のある花々・・春
パンジー

  密かに人を想うと

  小さな風が立って

  うなづくように花びらが揺れました

  今日 花を揺らした私の風は

  いつか 人の耳元に届くでしょうか
プチうんちく:首を傾けて物思いにふけっているように見えることから、フランス語のパンセ(考える)に語源をもつ。花言葉は、物想い、思い出。
フリージア


  
春の嵐に

  花々がいっせいにざわめきます

  でも この風の中に

  たったひと吹き

  あなたに贈られる風があるのです

  透明に透明を

  幾万回も重ねながら
 
プチうんちく:水仙に似るので別名・浅黄水仙(あさぎずいせん)。花言葉は、白の花色が、あどけなさ。赤が純潔。黄が無邪気。
苧環(おだまき)の花



   あなたと育てた苧環が
   花ひらきました

   それは懐かしい手紙です
   色で書かれた言葉です

   生まれる前の古里の
   山と川をめぐって

   二人が会わない前の
   遠い時間をたどって
   目の前に届いた便りです
プチうんちく:フランス語で別名〈聖母の手袋〉花言葉は、紫の花色が、捨てられた恋人。赤が、素直。