重吉の妻なりしいまのわが妻よためらわずその墓に手をおけ と、歌ったのは、その頃のことだそうです。 父は当時、小中学校のPTAの会長などもしていて、〈会長のお話〉のたびに、重吉の詩を紹介していました。父は話し下手でしたが、そのとつとつとした調子が、重吉の詩の素朴さと、よく合っていたように思います。(中略) 毎年10月26日に、重吉の生家の墓前で行われる〈重吉忌〉に、読書会の仲間と参加しています。今は、吉野秀雄氏も逝き、80歳になられた登美子夫人が、お一人で、鎌倉からおいでになります。 重吉を語られるとき、夫人は、その昔、重吉を恋した17歳の少女のままに、初々しく美しくいらっしゃいます。 ●掲載写真は「高尾タウン情報(雑賀編集工房)」 (http://homepage3.nifty.com/-saika/top.html)から転載させていただいています。