磨崖仏の寺
重文の多宝塔 原爆犠牲者の御霊を弔うため
和歌山から移築されました
古里の名刹をご紹介します。いつか、詩の教室のみなさんと広島市西区三滝山を散策しました。

三滝山は春は桜、秋は紅葉の名所として四季折々知られた景勝地です。私の実家近くにあり、幼い頃からなじみのある場所ですが、いつの頃からか、三滝寺の境内をめぐる参道に沿って、あまたの石仏、歌碑、句碑が並び建つようになりました。まさに石碑のデパートの景観をかもし出しています。

石のにぎわいに埋もれて 見落としがちなのが、巨岩に彫られた磨崖仏の一群です。江戸時代からの長い風雪にさらされて、目鼻立ちがかすれているのが、かえって 深い味わいがあります。

圧巻は、本堂裏手の壁面全面に筆で書かれた長篇詩。郷土の詩人、大木惇夫
(あつお)の「三瀧山」と題する64行にわたる古寺讃歌で、10メートルにも及ぶ墨書を端から端まで読み進むと、首が疲れてしまうほどです。