詩のある花々・・晩秋
山帰来(さんきらい)

   
隠しておきたかった  
   
葉と花が奪われた裸の姿を

   
今日まで迷い続けた道のりのように
   
折れ曲がり 後もどりする枝

   
かたくなな心のように
   
小さくまとまった実

   
枯れてもなお
   
自分を捨て切れぬ恥じらいの色

プチうんちく:実に毒消しの作用があり、山に入り実を食べ健康を回復して帰ってくることが名の由来。別名、サルトリイバラ(猿捕茨)。花言葉は、恵み。
石榴(ざくろ)

  ひとりこらえていたのですね

  
さけた胸の中は血がにじんでいます

  
はじけ出た想いは行き場を失い

  
やがて自分に返ってくるでしょう

  
秋の風に洗われ言葉の粒となって

プチうんちく:「紅一点」の「紅」とは、石榴の花を指す。中国の詩人・王安石が石榴の林に咲く花を詠んだ詩の一節による。花言葉は、円熟の美。
唐辛子

  食卓ではいつも脇役
  
辛さだけ取り柄のやっかい者

  
けれど薔薇も真夏の夕陽もうらやむ
  
神様から贈られた赤の深み

  
ひと色をつらぬく
  
ひたむきな愚かさを大切にしたい

プチうんちく:花は、実とは似ても似つかぬ白い花を夏開かせる。朝鮮半島に日本から持ち込まれたと言う説が有力。最近、ダイエット効果があることで人気上昇。花言葉は、旧友。