「白夢(びゃくむ)
夢からの知らせが詩になりました。
画家・味戸ケイコ先生の絵に飾られて、幸せな詩集です。
年齢を重ねてから、不思議な夢を幾夜も見るようになりました。それは、異界で起った確かな現実であるかのように生々しいものでした。
夢の中にもう一人の自分がいて、現実の自分に何かを暗示するようにも思えました。そんな夢からの知らせを頼りに、夢の意味を訪ねることから、この詩集が生れました。

師である詩人・安西均は〈詩は目を覚ましながら見る夢〉といっています。同じように、長年私淑した詩人・高田敏子からも、現実に根ざしながら現実の少し遠くにある梢を見つめるのが詩、と教わりました。
詩も新たな夢なのでしょう。

モチーフによって、異界の夢、現実の中の白日夢、血に繋がる者たちに関わる夢幻、と作品を3部に分けています。
詩集タイトルの〈白夢〉とは、昼とも夜とも分かちがたい白夜のように、これらの詩が夢ともも現
(うつつ)ともいえる薄明の世界のように感じて名づけました。

扉絵は、味戸ケイコ先生の作品に飾られる喜びに、感謝の言葉が追いつきません。
出版を奨めて下さった新風舎のスタッフの皆さんに、大きな力添えをいただきました。